約30年前、医療機関で行われていた血液検査(臨床検査)の外部委託が認められた。
当時は“微量の血液で病気の判別ができる”画期的な検査技術の進歩と医療保険(検査料)の右肩上がりにより「臨床検査は儲かる」という傾向があり、全国に800社以上の事業者が誕生した。
その反面、他業種からの参入が相次ぎ、中には医療機関から血液を預かるものの、そのまま廃棄したり、検査をせずに適当な数値を書き込む、同一血液なのに検査数値が数十倍も異なったりと、世間を騒がせる事件が発生した。
一方、当時の厚生省では右肩上がりの医療保険を抑制するため、1980年代に「検査のマルメ」を断行すると共に、検査データに関する品質保証という観点から検査精度管理を求め、委託する側の医療機関も同調して全国的に検査サーベランスが実施された経緯がある。
これらの経緯を介護保険業界に照らし合わせて見ると、実に良く似た傾向が窺える。
1990年代、増加しつつある高齢者対策の一環として助成金制度を創設し、特別養護老人ホーム(特養)、老人保健施設(老健)の整備を行ってきた。
また、2000年の介護保険制度の創設と共に民間事業の参入を認め、その結果、有料老人ホーム、グループホーム、デイサービス、訪問介護ステーション等が全国の数千社誕生した反面、高齢者を死亡させる事故が発生したり、不正請求する事業者が出没したりと、時々世間を騒がせる事件が発生している。
この様な傾向より介護サービス業界の将来を推測すると、「介護サービスの“質”」を求められる時代がやって来るのではなかろうか?
特に、これまで建物、立地条件、交通アクセス等ハードウェアに重点を置いた考え方をしていた特別養護老人ホーム、老人保健施設、有料老人ホームの事業者は、入居されているお客様サイドに立った「介護サービスの“質”(ソフトウェア)」を早期に構築すると共に、経営・運営の“改革”を断行しなければ生き残れないのではなかろうか?
