昨年10月、介護保険制度改正の一部が先行実施された。従来、月額5万円程度の利用料で利用できた特別養護老人ホーム(特養)や老人保健施設(老健)が食事、水道光熱費などホテルコスト名目で月額5万円から10万円の自己負担増になることである。
そのことにより、自己負担という「金銭面」で特養も老健も民間が経営する有料老人ホームと概ね同一利用料金になったことで、利用者サイドの思考能力に「同一料金を支払うなら建物が新しい方が・・・」「プライバシーの守れる個室の方が・・・」「介護サービスの手厚い方が・・・」「交通アクセスや手段の利便性が高い方が・・・」「スタッフの接遇マナーや態度の良い方が・・・」等の変化が現れている。
一方、2006年の介護保険改正では保険料の抑制を目的に介護認定基準の見直しや、介護予防の創設、特養・老健入居者へのホテルコスト負担増、区市町村への権限委譲等の施策を打出した結果、将来は手厚い公的助成を行っていた行政サイドも税収不足や介護保険料の見直し等を理由に公的助成の見直し、或は打切りが考えられるのではなかろうか?
また、特養・老健入居者へのホテルコスト負担増と、民間有料老人ホームとの自己負担費用の比較により利用者サイドの思考に変化が現れ、人里離れた立地にある特養や老健から、交通アクセスが良く、個人プライバシーが守れる個室が支流の民間有料老人ホームへと利用者(お客様)の移動が始まり、経営難に陥る時代がやって来るのではなかろうか?
そして、この様な事態を招かないためにも「介護は“サービス”」という認識に立って、入浴介助、排泄介助など画一的な介護サービス提供から脱却し、利用者(お客様)サイドに立った「介護サービスの“質”(ソフトウェア)」を早期に構築しなければ生き残れない時代がやって来るのではなかろうか。
